Take a Risk:林岳彦の研究メモ

自らの研究に関連するエトセトラについてのメモ的ブログです。主にリスク学と統計学を扱っています。

業務連絡:しばらく更新止まります

いろいろエントリーの草稿はたまっているのですが、申請書書き(あと各種の雑多業務)などで首がまったくまわらないのでしばらくweb上から消えます。本当につかれた。がんがります

まとめた保高さん:放射性セシウム汚染土壌の管理・浄化の方法まとめのメモ

産総研の保高徹生さんが、放射性セシウム汚染土壌の管理・浄化の方法についての論考を公開されたのでメモいたします*1。汚染土壌の管理浄化の諸方法についてその利点・欠点・制約条件などをプロの人がまとめたものって意外とないような気がしますので、とて…

なぜ経済協力開発機構がリスク評価に関わるの?

今週は経済協力開発機構(OECD)での会議のためパリに来ていました*1 *2。いま朝の6:00@ホテルなのですが、これから7:00には部屋をでてパリから成田に帰ろうと思っています。今回はまあこういう機会でということで、なぜOECDが化学物質のリスク評価に関わっ…

重回帰の変数選択についての追記:交絡調整との兼ね合い

いまフェスで鹿児島に来ています*1。先日の重回帰の記事の追記として、「相関のある変数を取り除くこと」を「交絡調整」という視点からさくっと語りなおしてみたいと思います。 (これから書くことはたぶん間違ってはないハズとは思うんですが、もし間違って…

重回帰分析における多重共線性への対処ストラテジーのメモ

良い機会なので重回帰分析についてのメモをちょっと残しておきます。今日のネタ本はこちら:Excelで学ぶ共分散構造分析とグラフィカルモデリング作者: 小島隆矢出版社/メーカー: オーム社発売日: 2003/12メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 152回この商品…

同情編のための前置き:許容可能リスク・ALARA・予防原則・汚染者負担原則

今回は放射性物質の食品健康影響評価のワーキンググループの評価書シリーズ(過去記事「憤慨編・疑問編」 )の最終回として「同情編」について書こうと思ったのです。が、いざ書こうとすると、いくつかの関連する概念をあらかじめ説明しておかないとエントリ…

重回帰・偏相関・パス解析に関する解説記事のメモ

パトラッシュ、ぼくはもう疲れたよ...と呟きたくなる*1今日この頃ですがみなさまいかがおすごしでしょうか。(ああけっきょく食品安全委員会の件のシリーズをパブコメの〆切前に完結させることはできませんでした...orz) 今回は統計ネタのメモです。さいき…

放射性物質の食品健康影響評価WGの評価書案を読んでみた(その2・疑問編)

このシリーズのその1(憤慨編)にひきつづき、第9回放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループ(以下WGと略)による評価書(案)にたいする私の雑感について整理していきたいと思います。今回は「疑問編」になります。(今回もまったくもっ…

村上陽一郎の記事が個人的に衝撃的だった件

食の安全情報blogさんの以下の記事:放射線リスクの真実 〜ジャンクサイエンスに惑わされないために - 食の安全情報blogに触発され今月の中央公論を買って読んでみたのですが、個人的には上記の記事*1よりも、その後の村上陽一郎のインタビュー記事が衝撃的…

不確実性と意思決定:「盛る」のは正義か?

twitter上のTLを見ていたら、不確実性を伴う情報を伝えるときに、それを「安全側」にバイアスをかけて伝えたり(安全側に「盛る」)、「危険側」にバイアスをかけて伝えたりする(危険側に「盛る」)ことの是非が議論されていました。一応わたしも、不確実性…

放射性物質の食品健康影響評価WGの評価書(案)を読んでみた(その1)

ふう。ここのところ書けずに苦しんでいた論文はやっと英文校閲には出せました。「でも本当の苦しみ(査読)はこれからだ!」とか言わないでくださいね後生ですから。これからまたSドク者によるMニュスクリプトへの言葉責めプレイが待ち受けているかと思うと…

リスク評価は意思決定を支える柱の一つにすぎない

まだ論文がぜんぜん書けてない*1のでぜんぜんアレなのですが(参照)、自分の頭の中のモヤモヤを整理するために「リスク評価と意思決定」についてちょっと書いてみたいと思います。今回は学問的に確立した話というよりも、実務寄りのリスク研究者としての経…

これはすごい:生活クラブの真摯なリスコミ

生活クラブのリスクコミュニケーションの文章があまりに真摯なのでメモ。調査・情報公開と運営方針について逃げずに丁寧に説明。この姿勢には頭が下がります。生活クラブ:福島第一原子力発電所事故に関する見解生活クラブ:第22回総会で決定した「原発対応…

なんだこりゃ:アニメで見る統計ディスコミュニケーション

論文は一向に書けていませんが、なんだこりゃなアニメ(英語)を見かけたのでちょっとだけご紹介: ワロタw

業務連絡:しばらく更新止まります

論文書きに集中するためにしばらくブログから離れます*1。自分を縄に縛り付けてでも気合で書くべし>俺*2 *1:twitterも見ていません *2:個人的には、研究のアイデアを考えている時が一番幸せで、論文を書く作業はとてもキライなのです

ふたたび保高さん:放射性物質による土壌汚染の解説のメモ(土が直接口に入るのはどれだけ危険か)

以前もご紹介いたしましたが、保高さんが引き続き一連のエントリーを書き続けていらしているので最新のものをメモしておきたいと思います。放射性物質による土壌汚染4 土壌経由の内部被ばくを計算してみるちょっと引用: 結論から言うと、土壌の直接摂取の寄…

ふたたび岸本さん:放射性セシウムの暫定規制値の根拠に関するメモ

産総研の岸本充生さんの放射性セシウムの基準値の根拠に関する記事を見つけたのでメモしておきます。今回も必読かと思われます。基準値の根拠を追う:放射性セシウムの暫定規制値[2011/05/23]:コラム - 持続可能な社会実現に向けた評価研究部門 | 産総研 AIS…

みなさまにご相談:この生涯当たりリスクの簡易概算法ってOKですかね?

今日はちょっと「生涯当たりリスクの簡易概算法」を思いついたのですが*1、この考え方でOKかどうかの相談も兼ねて書いてみたいと思います。 前置き:比較の際にはリスクの単位に気をつけよう! 異なる事柄のリスクの比較をするときによく間違えやすいのが、…

ミラノに来てみたよ

ミラノなう。SETAC EUというフェスがありミラノに来ています。もう明日には帰るのですが、到着初日の出来事をちょっと書いてみたいと思います。まさにイタリア!というかんじだったので。 旅順としては、成田からイタリアのエスペランサ空港までまず直行便で…

丁寧なのね保高さん:放射性物質による土壌汚染についての解説のメモ

保高徹生さん*1が、放射性物質による土壌汚染についてとても丁寧に解説を書いてくださっているのでメモを。放射性物質による土壌汚染1 放射性物質の土壌面での挙動について図解が多くてわかりやすいです。続編にも期待。 *1:HPがオサレすね

学会ポスターにまつわるTipsのメモ

今日は、エア後輩向けに学会ポスターにまつわるTipsのメモを書きたいと思います。 (1)その筒は本当に必要?:紙で折りたたんで持っていっても実はそんなに気にならない 地方都市でのフェスに参加すると、バス停なんかで多くの人が「筒」を持っている風景がみ…

低頻度高被害型リスクについて考える(2/3):不確実性の問題

前回に引き続き、今回も 「10日に1度の確率で10人が死ぬ事象」と「10万日に1度の確率で10万人が死ぬ事象」は、どちらも「1人死亡/1日」という同一の表現で表すことができるけれども、それは本当に同一なリスクとみなして良いのだろうか? という問いについ…

低頻度高被害型リスクについて考える(1/3):可換性の問題

今回のシリーズではいわゆる「低頻度高被害」タイプのリスクに関して、「可換性」「不確実性」「認知的収支」という3つの視点から書いていきたいと思います。ちょっとマニアック内容になるかもしれませんが、どうかご容赦ください(すんません)。 ベースと…

全編、いま読むとすごく響かざるをえない:『リスク意思決定論』谷口武俊著

以前にも読んだこの本を、自分の新しいエントリーを書くために再読してみました。リスク意思決定論 (シリーズ環境リスクマネジメント)作者: 谷口武俊,「環境リスク管理のための人材養成」プログラム出版社/メーカー: 大阪大学出版会発売日: 2008/10/15メディ…

あの娘吉田豪がロングインタビュー決めたらどんな顔するだろう

すみませんタイトルは内容とちょっとしか関係ありません*1。今回はリスクコミュニケーションやサイエンスコミュニケーションについて最近感じたことをユルく書いてみたいと思いました。 リスクコミュニケーション:「語ること」そして「聴くこと」 いまtwitt…

共分散構造モデル一元論的な図のメモ

統計的因果推論の勉強の一環として、豊田秀樹さんら著の『原因を探る統計学』を読んでいたら共分散構造モデル一元論的な図があったのでメモしておきます。原因をさぐる統計学―共分散構造分析入門 (ブルーバックス)作者: 豊田秀樹,前田忠彦,柳井晴夫出版社/メ…

マジすか岸本さん:放射性ヨウ素の暫定規制値の根拠に関するメモ

産総研の岸本充生さん*1が部門のHPに書いていた記事が軽く衝撃的だったのでメモしておきます。基準値の根拠を追う:放射性ヨウ素の暫定規制値のケース ちょっとだけ引用すると(強調引用者): さらに重要なことは、上の計算からも分かるように、食品の暫定…

意外な展開:自然死産率の生データを見てみた

さいきんtwitter上で、「1960年代において大気圏核実験の影響で自然死産率が上昇している」という情報を見かけました(本記事の論旨の前提となりますので、ぜひ以下URLをご参照の上で以下の記事をお読みください)。http://twitpic.com/4gcyc6研究者ならば生…

「1000年に1度」の意味:頻度と確率を混同しちゃダメ!

今回の大地震を巡って、ときおり頻度と確率が混同されているように思われるので、整理のためのメモをしておきたいと思います。 「1000年に1度」=「今年1年間に大地震が起きる確率が1/1000」? 今回の大地震は869年に起きた貞観地震以来の規模ということで、…

気象学会の予測公開自粛要請に関する記事のメモ

今回の気象学会の予測公開自粛要請に関する素晴らしい記事だと思ったのでメモしておきます。出さないことのリスク : Memories of the Past by Takashi NAGAI「予測を出さないことのリスク」というのも実際にはあるわけですよね。そこも考えないといけません…

野菜の放射性物質のモニタリングに関する記事のメモ

野菜の放射性物質のモニタリングに関して素晴らしい記事だと思ったのでメモしておきます。はてなダイアリー私も同じようなことを漠然と考えていましたが、ここまで明確に文章にはできませんでした(←そして文章にできるかできないかの差は天と地ほど大きいの…

統計的因果推論を学んでみる(0):ヨナ書の引用

これから統計的因果推論について学んでみようと思っております。統計的因果推論について考えることは「偶然と必然」の関係について考えることと重なります。 今回はその序章的メモとして、Judea Pearlの「統計的因果推論」で引用されている、ヨナ書の一節を…

一人でも多くの人命を救うために:リスクトレードオフについて考えよう

今日はリスクトレードオフについて手短に書きたいと思います。 リスクトレードオフって? リスクトレードオフは、一般的には あるリスクを削減することが、また別のリスクを生み出したり、増大させること と定義することができます。 リスクトレードオフの悲…

業務連絡:日常に戻ります

今日から通常の仕事に戻りたいと思います(当面は在宅で働くことになりそうですが)。 私にとって青春のほぼ全ての期間ともいえる10年間を過ごした仙台を含む東北地方がこんなことになり、絶句し頭を抱えるばかりです。家や職場の居室内のぐちゃぐちゃは粛々…

業務連絡:こちらは無事です

こちら(@つくば)は本人・家族・知人とも無事です。国立環境研究所の建物内は本や機材などが散乱し、かなりぐちゃぐちゃな状態だと思われます(私は地震後すぐに避難しそのまま職場の居室には一度も戻っていません)。おそらくいまだ研究所内は停電中であ…

確率概念の分類を描いてみた

SYNODOSのメルマガ(Vol. 70)の矢野浩一さんの記事に触発されて、今回は私の世界観における確率概念の(認知)分類を描いてみました。 主観確率・頻度主義的確率・ベイズ確率などの語句の説明はWikipediaが参考になるかと思います。客観的確率ですか? みん…

素晴らしく勉強になった:『実践!交渉学 ---いかに合意形成を図るか』松浦正浩著

今回は東大の松浦正浩さんが書かれた『実践!交渉学 ---いかに合意形成を図るか』という新書のメモをしておきます。実践!交渉学 いかに合意形成を図るか (ちくま新書)作者: 松浦正浩出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/04/07メディア: 新書購入: 9人 ク…

ほっほうー:「相関関数とは何か?」という記事のメモ

線形代数に関する調べものの際に見つけた記事のメモをしておきます。「相関係数とは何か?」 を体系的に理解するための6ステップ - 主に言語とシステム開発に関してそういう説明の仕方があるのかー!とかなり目からウロコでした。

関谷翔:「リスクガバナンス」の射程

今回は論文のメモです。HERA57さんがtwitterで言及されていた、関谷翔さんという方の修士論文を読みました。「リスクガバナンス」の射程---技術モデル・民主モデルを超えるために---とても頭の整理になったのでオススメの意味も込めてメモしておきます。文章…

イラレはイラネ?:私の愛するオムニグラフ(*マカー向け)

みなさまは、ちょっとした図の作成やグラフ上の表記の編集などは何を使っていますでしょうか? 今回は私の愛するマック用ドローソフトである「オムニグラフ」について書きたいと思います。 わたしの竹馬の友:オムニグラフ 私は、お絵かきにはいつもオムニグ…

いろんな解析をパス図で表した解説サイトのメモ

昨日わたしなりの統計マンダラ(大幅改訂しました)を改訂している途中で見つけたすごく勉強になったサイトをメモしておきます。中部大学小塩研究室さんのサイトにあった解説です。様々な分析をパス図で表す この図を見ていると、殆んどの線形系のモデルにつ…

半可通なりに果敢にも統計マンダラを描いてみた(20110218改訂)

今回は果敢にも半可通なりの統計マンダラを描いてみました。私は紛れもない半可通なので間違っているところが多々あると思いますが、ぜひ専門家の皆様に適宜御ツッコミいただければ幸いです(ぜひコメント欄もご利用/ご照会ください)。【20110218追記:マ…

学会という名のフェスへ行け!

今回は「学会とは何か」「なぜ学会に行くのか」について「学部生〜M1くらいのエア後輩」へ向けて手短に説明してみたいと思います。なお、本稿では「学会」という言葉を「学会組織」ではなく「年次大会」の意味で使っていきます。 学会とは何か 結論から言う…

「伝わるデザイン」大幅更新のメモ

いろいろと素晴らしい高橋佑磨さん・片山なつさん制作の「伝わるデザイン」が大幅更新されていたのでメモしておきます。ささらほうさら: ■ 伝わるデザインを更新 伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン作例・素材集なども加わりより素晴らしいかん…

無から有(意差)を生む:多重比較でウソをつく方法

前回の記事では多重検定がキーワードとなりましたが、良い機会なので、今回は例を交えながら多重検定がもつ問題のインパクトについて説明したいと思います。 (*「多重検定って何?」という方はこちら)結論を先に書くと、多重性を調整しない多重比較がなぜ…

「美人ほど女の子を産む」はウソ?:A. Gelmanによる統計的欠陥の指摘のメモ

少し以前から「美人ほど女の子を産む」というタイトルの記事をネットでちらほら見かけておりました。 例えばこちらなど:美人ほど女の子を出産する確率が高い | ゆかしメディア | 1個人的にはこういった進化心理学的研究への興味はもちろん大アリなのですが…

おっと危ない:信頼区間と予測区間を混同しちゃダメ

今回は仕事で解析をしていて「おっと危ない」と思ったことについて書いてみます。結論からいうと「信頼区間と予測区間を混同しないように注意しましょう!」という話です*1。 課題:BODの値からTOCの値を推定したい 最近ややあってBOD(生物化学的酸素要求量…

安藤 (2006)「構造方程式モデリングの光と影」

たまたま検索で引っかかった論文なのですが、読んでみたらちょっと興味深かったのでメモ。 - 安藤寿康 (2006)「構造モデリングの光と影」パーソナリティ研究 : Vol. 15 , No. 1 pp.120-123. http://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/15/1/15_120/_a…

ポメラキラー完全体:MacBook Air 11インチの感想メモ

はてなの「MacBook Air 11インチ欲しい!」というキャンペーンに乗じて書いてみます。実は1ヶ月ほど前からMacBook Air 11インチを使っております。その感想のメモです。良い点: 使用感が小気味良い(動作が早くて小気味良い:参考記事@ASCII.jp) スリープ…

ベイズ統計に反対する理由@昔の中国(A. Gelmanがソースだった件を追記)

日本に滞在経験のある中国人の大学生の方のtwitterで面白いベイズネタがあったのでメモ。Twitter / AlexWangYang: 話によると、昔の中国で「ベイズの定理」http://goo. ...事前分布の解釈には諸説ありますが、これはアクロバティックな事前分布の解釈ですね…