Take a Risk:林岳彦の研究メモ

自らの研究に関連するエトセトラについてのメモ的ブログです。主にリスク学と統計学を扱っています。

実践としての統計学/佐伯胖、松原望

いわゆるcook-book的な統計の本とは対極的な、統計学の背景に存在する考え方(How toではなくWhatとWhy)について書かれた本でした。こういう本はあまり類書がないので勉強になりました。

触れられている内容は

  • ネイマンとフィッシャーの立場の違い
  • 主成分分析と因子分析の違い
  • 無作為抽出と無作為配分
  • 仮説検定とベイズ
  • 統計学と計量分析

などでした。


1999年の本でもあり、余り目新しい記述というのはありませんが、あまり表立って言及されることのない統計的推論の考え方の背景を理解する上では良い本でした。ただ、言及されている手法自体については今となってはちょっと古いかなーという感じもしました*1

本書は仮説検定の問題点について整理して記述されている日本語文献としてもオススメできると思います。また、この本での解説スタイルのように、「統計的推論アプローチとしてのベイズの特徴」は「仮説検定」的な考え方と対置して説明するのがいちばん分かりやすいのかも、と思いました。

実践としての統計学

実践としての統計学

*1:一般化線形モデルなどへの言及はなし。あとAICの扱いについてもちょっと違和感あり←この点については私の勉強不足かもしれませんが