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Take a Risk:林岳彦の研究メモ

自らの研究に関連するエトセトラについてのメモ的ブログです。主にリスク学と統計学を扱っています。

セミナー:「なぜベイズ統計はリスク評価に適しているのか?:その哲学上および実用上の理由」

シンポなど リスク 統計

6月17日(木)に国立環境研の生物系若手セミナーで以下の内容で発表をします。

もしお近くにお住まいで興味のある方がおりましたら御気軽にどうぞ(時間と場所等はこちら)。

先日同内容の発表をしたときには、質疑応答込みで丸々3時間かかりましたが、今回はなんとか1時間半の枠に収めたいと思っております。がんばります。

演題「なぜベイズ統計はリスク評価に適しているのか?:その哲学上および実用上の理由」

近年、様々な分野においてベイズ統計が用いられるようになってきている。おそらく、それらの多くの場合においては、ベイズ統計は「単なる新しいツール」の一つとして捉えられていると言えるだろう。しかしながら、特に「リスク」に関連した分野においては、「ベイズ統計」は「単なる新しいツール」以上の本質的な意味を持ちうるものであると考えられる。

本発表では「なぜベイズ統計はリスク評価に適しているのか?」について、「確率の哲学的解釈」「統計的推論」「リスク分析の実務」の3つの観点から以下の三部構成による議論を展開する。

第一部:「確率」の哲学的諸概念とリスク解釈にとっての意味

一般に、リスクは「影響の大きさ」と「確率」の関数として捉えることができる。そのため、「確率とは何か?」というのはリスク概念を考える/用いていく上でまさに本質的な問題であるといえる。第一部の前半では、「確率」の代表的な哲学的解釈として「古典確率」「論理説」「個人説」「間個人説」「頻度説」「傾向説」を取り上げ、その内容および適用可能な範囲について解説する。後半では、「単一事象」「リスク認知」「交換可能性」「情報量」をキーワードに、「リスク」を評価/制御していく上ではどの各確率概念を念頭に置くのが最も適切かについて議論する。

第二部:仮説検定の「筋違いさ」とベイズの本質的な利点

第二部の前半では、伝統的な統計的推論手法である仮説検定の論理構成について解説する。また、そのような仮説検定の考え方をリスク解析に適用することの「筋違いさ」について解説し、区間推定・モデル選択などの手法がより有効であることを述べる。後半では、ベイズ統計における統計的推論の枠組みについて解説し、ベイズ統計における推論様式がリスクの考え方と本質的により親和性が高いことを解説する。

第三部:デフォルトあるいは糊代としての事前分布の利用

第三部では、 限定的/断片的な情報から統合的な評価を行う必要があるリスク評価という営みにおいて、事前分布とベイズ統計の利用が非常に有効なツールとなることを解説する。 前半では、事前分布はリスク評価における一種の「デフォルト」概念に相当するものとして捉えられることを述べる。後半では、事前分布を「糊代(のりしろ)」として利用することにより、様々なものを「繋ぐ」ことができることを解説する。

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