読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Take a Risk:林岳彦の研究メモ

自らの研究に関連するエトセトラについてのメモ的ブログです。主にリスク学と統計学を扱っています。

ベイズ統計は主観的か?:A. Gelmanの記事のメモ

A.Gelmanの主観確率(subjective probability)に関するコメントを含む記事があったのでメモしておきます*1

Does posterior predictive model checking fit with the operational subjective approach? « Statistical Modeling, Causal Inference, and Social Science Statistical Modeling, Causal Inference, and Social Science

以下はGelmanのコメントの引用 (強調は引用者):

5. As I've written in various places, I don't like thinking in terms of subjective probability. All of statistics is subjective, in the sense that choices have to be made in deciding what models to consider and what data to analyze, but I don't see Bayesian inference as any more subjective than classical inference. Not one bit. I could actually argue the opposite, that classical statistics--with its choices of estimators, tuning parameters, optimality criteria, etc., is actually more subjective. But I'd just as soon not even bother to make that argument.

御意。この手の議論は「主観確率」という語感/概念のイメージにどうしても議論が不毛な方向に引きずられがちになってしまうのだと思います。("I don't like thinking in terms of subjective probability")

統計的推論の枠組みとして、ベイズ統計(主観確率に基づく)の枠組みが古典的な統計の枠組みより「主観的」だということは全くないでしょう。どちらの枠組みにも主観性というものは含まれているものです。村上春樹さんもいつも『完璧な統計的推論などといったものは存在しない。 完璧な絶望が存在しないようにね。』と言っています*2

一般論として、ベイズの枠組みのほうが主観性がより「見える化」されやすい傾向があると言えると思います*3。一方、古典的手法の適用においては、「みんながやっている慣習」の裏にある様々な主観性が「見えにくい形で」含まれがちだという傾向も否めません。

その意味では、「透明性が高いという意味での客観性」はベイズの方が高いというケースも多くあるように思われます。まあ結局のところは、ちゃんと分かっている人が運用するならばどちらも問題は少ないということに尽きるのかもしれませんが。

Bayesian Data Analysis, Second Edition (Chapman & Hall/CRC Texts in Statistical Science)

Bayesian Data Analysis, Second Edition (Chapman & Hall/CRC Texts in Statistical Science)

  • 作者: Andrew Gelman,John B. Carlin,Hal S. Stern,Donald B. Rubin
  • 出版社/メーカー: Chapman and Hall/CRC
  • 発売日: 2003/07/29
  • メディア: ハードカバー
  • 購入: 2人 クリック: 11回
  • この商品を含むブログ (17件) を見る

*1:他にも面白げなトピックが含まれているのですがとりあえずそこはスルー

*2:ウソです

*3:ある程度のベイズリテラシーがないと「見える化」されているものも見えない、とも言えるのですが