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Take a Risk:林岳彦の研究メモ

自らの研究に関連するエトセトラについてのメモ的ブログです。主にリスク学と統計学を扱っています。

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」が面白すぎる(その9)

今回から、第3章「いろいろな形の定量的推論」の第3節「推測度による論法」を見ていきます。いわゆる「フィデューシャル推測」ってやつですね。この節は詳しく見ていきたいと思います。

冒頭から引用していきます(強調は引用者):

推測度という言葉は、ある特種な型の帰納推理をベイズのそれと区別するために導入したものである。ベイズのそれは、対照のために、ベイズ流の論法とよぶことにする。なぜこの区別が必要かというと、この場合にもベイズの方法と同様に、観測値に照らして、ある未知パラメータ(母数)に適用される確率的な命題を導くからである。しかしながら、ベイズの論法では、事後に最終的に得られる確率命題と同じ論理形式の確率命題を含む事前分布が必要であるのにたいして、推測度にもとづく論法は、このような事前の情報がないときにのみ適用できるのである。ベイズ流の論法では、観測値は、十分に定義された事前分布を、同じように十分に定義された事後分布に変換するために用いられる。そうして、よく知られているように、観測数を増すと事前に供給される情報の重要性に対する観測値の重要性は増加する。したがって、事前の情報の結論にたいする影響はますます小さくなる。これと対照的に、推測度の論法では、パラメータについていかなる確率的命題も述べえないという論理的状態から、十分に定義された分布をもつ確率変数の状態へと変えるのに、観測値が用いられる。

「推測度」という概念は、事前分布を用いずにベイズ的な(逆確率の)帰納推理を取り扱うために導入しましたよ、という感じでしょうか。

続く部分は今後の説明のベースとなる部分の導入:

もしもパラメータそのものについて直接に正確な観測ができるならば、その値を観測することによって、パラメータが完全に未知であるとか、ある既知の頻度分布をしているという論理状態から、確定した値を定められるという状態に、同じように変えることができるだろう。したがって、同じような正確な観測がパラメータそのものでなく、パラメータで表される分布をもつ変量について行われたときにも、都合のよい場合には、より低い水準ではあるが、同じような状態の変化を生じうるとしても驚くことはないだろう。

この部分はちょっと抽象的な感じですが、次のパラグラフから「放射能源の間隔」の例が出てくるので、その例を読むと分かるかも。

続きはまた次回に。