Take a Risk:林岳彦の研究メモ

自らの研究に関連するエトセトラについてのメモ的ブログです。主にリスク学と統計学を扱っています。

重回帰・偏相関・パス解析に関する解説記事のメモ

パトラッシュ、ぼくはもう疲れたよ...と呟きたくなる*1今日この頃ですがみなさまいかがおすごしでしょうか。(ああけっきょく食品安全委員会の件のシリーズをパブコメの〆切前に完結させることはできませんでした...orz)


今回は統計ネタのメモです。

さいきん海洋生態学者の大垣俊一さんという方が書かれた「重回帰・偏相関・パス解析」に関するよさげな解説原稿を見つけたのでここにメモしておきます。

重回帰、偏相関、パス解析(pdf)
重回帰と偏相関、その後(pdf)

個人的には重回帰からパス解析(因果分析)への繋がりを解説する素晴らしい原稿だと思いました。細かい部分の記述に著者の確かな力量が感じられるとってもステキな原稿だと思います。


上記の原稿が載っているのは、関西海洋生物談話会の連絡誌である"Argonauta"というものらしいのですが、以下の目次:

Argonauta:Newsletter:Index

を見ると科学哲学的なもの*2も含めていろいろと面白そうな原稿が載っていてちょっとワクテカします。誰でもダウンロードできますので、ぜひみなさまも他の原稿も探ってみると良いのではないかと思います。


ちなみに上記の原稿のテーマに関して追記すると、「回帰分析と因果分析」の件については以下の名著:

統計的因果推論―回帰分析の新しい枠組み (シリーズ・予測と発見の科学)

統計的因果推論―回帰分析の新しい枠組み (シリーズ・予測と発見の科学)

の中で「パス図書いてバックドア基準を満たすように変数を選択すればOK」というファイナルアンサー的な解説がなされています。この件についてもブログに書きたいのはヤマヤマなのですが、なかなか時間がなくて書けないのがとても残念です。ご興味のある方はぜひ読んでみることをオススメいたします。


(さらにちょっと付け加えると、なぜ私が因果分析について最近深入りしているかというと、リスク評価とか生息適地の評価などの『評価/予測』の領域までは重回帰系(GLMとか)のアプローチでいいのですが、リスク管理や保全措置などの『管理/介入』に関わる領域については因果分析のアプローチじゃなきゃ本来はマズイのではないか、と思い始めたからです。この区別は意外と本質的に重要だと思うんすよ。)

*1:まだ召されるつもりはありませんが

*2:これらも上記の大垣さんが書かれているらしい