Take a Risk:林岳彦の研究メモ

自らの研究に関連するエトセトラについてのメモ的ブログです。主にリスク学と統計学を扱っています。

キクマルがタナキクマルに進化したような改訂版:『増補改訂版:伝わるデザインの基本』レビュー

こんにちは。林岳彦です。大昔にまだいたいけなカープ少年だったとき、よく分からぬまま村上龍の『走れ!タカハシ』を読んでしまいました。そしてそのオトナ(エロ)の世界になんだかショックを受けました。そんな大昔のことなども思い出しつつ、”龍”なんだからドラゴンズのことでも書いてりゃいいだろうが、と今さら龍に突っ込んだりしています。そして夜な夜な赤ワインを飲んでカンブリア宮殿に向かって乾杯しています。ラブ&ピース&カープ。そんな25年ぶりの優勝です。


さて。


少し前の話になりますが、球界の夜の盗塁王生態学会の気鋭の若手としても知られる千葉大学のタカハシ佑磨さんから、先々月の8月5日に発売された『増補改訂版:伝わるデザインの基本』というご著書をご恵贈いただきました。

伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール

伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール

せっかく頂いたということもあり、また、初版ももともと名著だったのですが、この増補改訂版においては、2012年(新人王)→2016年(最多勝)の野村祐輔のようにその輝きがさらに増しておりましたので、本ブログでも研究hacksの一環としてご紹介&オススメしようと思いました。

そもそもどういう本なのか

一言でいうと、この本は「デザイナーではない普通のビジネスマンや学生や研究者の人のためのデザインの本」になるかと思います。

別の言い方をすると、「ふだんの業務の中で見やすく理解しやすい資料をつくるためのデザインTips本」ともいえます。「特別な機会 a.k.a OMOTENASHIのためのアート的な美しいデザインTips」の本ではなく、あくまで「伝わるデザインの基本」についての本です。

どのような本なのかを把握する上では、以下のリンクから本書の初版に対するアマゾンレビューを見ていただくのが良いかと思います:

伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール

伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール

なんと・・・総数で55件のレビューがありながら星の平均がほぼ5に近いという、広島ファンのシュールストロム在米スカウトに対する評価に匹敵するほどのすごい高評価になっています。この評価ぶりにはなんというか正直とても妬ましく羨ましく感じるくらいです。こんちくしょうこのリア充タカハシめとても素晴らしいですね!

この本の良いところ

「デザイン本」としてのこの本の良いところは、あくまで「ふつうのビジネスマンや学生や研究者」の目線で書かれている点にあると思います。

たとえば、今まで出版されてきた本職のデザイナーによるデザイン本は「良いデザインのカタログ」的な本が多かったように思います。

一方、この『伝わるデザイン』では、とても日常的なPowerpointによるプレゼンスライド資料やWordでの報告資料のような「あるある」な形式が中心に扱われています。フォントの選び方やレイアウトの基本構造などなどについて、「悪い例」→「良い例」のデザイン改善Tipsもたくさん紹介されており、日々の業務の中でとても役に立つ内容になっています。


また、実際にデザイン改善Tipsに従って資料を修正するときの「WordやPowerpoint(やKeynote)での修正の仕方」が、懇切丁寧に説明されているのもこの本のとても良いところです。

わたくしもMS Office系のソフトの操作方法は「だいたい知っている」つもりでしたが、この本を読んで知らなかった(あるいは薄々知っていたけど面倒くさくて使わなかった)多くの便利ワザを日常的に使いこなせるようになり、効率的に資料を作成できるようになりました。ありがたや。

このような「MS Office系ソフトの操作方法」の丁寧な説明が充実しているのは、著者らが本職のデザイナーではないからなんだろなと思われます。(おそらく本職のデザイナーはWordやPowerpointを日々重用したりしてないですもんね)


さて。著者らが本職のデザイナーではない(著者らの本職は生態学者)ということで、先発で絶好調の高橋健をリリーフに回す達川カープ末期のような独善的かつ場当たり的なHow toが紹介されていたらどうしよう・・・とご心配される方もいるかもしれません。でもその心配はご無用です。他のデザイン論系の類書と比較してみても奇矯なことが書いてあるわけではありません。

著者らはプロの研究者らしく、基本となる先行研究をきちんと踏まえた上で、(プロのデザイナーではない)普通の人が陥りがちな問題点とその改善点について丁寧にまとめてくれています。その点は2016年の絶対的クローザーたる中崎翔太に対するような安心感をもって接していただいて良いかと思います。

今回の増補改訂版では何が変わったのか

さて。先々月の8月6日に出た今回の「増補改訂版」の話をしましょう。

結論から言うと、初版の『伝わるデザイン』もまるで「キクマルみたいに素晴らしい」ものでした。そしてそして。今回の増補改訂版はさらに「タナキクマルみたいに素晴らしい」です。鈴木誠也に言わせれば「最高」です。

具体的には何が変わったかと言うと、まずは、分量が増強されています。総ページ数を見ても前版173ページ→増補改訂版237ページと増えております。一方、分量は増えているのにもかかわらず、価格の方は税抜きで初版2180円→増補改訂版1980円と逆に安くなっています。掟破りの逆サソリです。これはまるで年俸20億円のオファーを蹴って4億円でカープに戻ってきた黒田博樹のような男気と言えるでしょう。

また内容も単に量が増えただけではなく、個々の解説もさらに深化しつつかつより丁寧なものになっており、技術的なTipsもさらに充実したものになっています(例えば、MS Office系のソフトで画像の背景の除去ができるとか、知らなかった)。フォント事情などもより最近の状況に対応した記述になっており、キクマルがタナキクマルになったと思ったら安部もなかなかいいじゃないですかと思わせるようなさらに隙のない充実した内容になっています。

その他の改善点として、内部のデザインがけっこう変わりました。ちょっと意外なことですが、今振り返ると、前版の『伝わるデザイン』は本文の地の文のフォントが細すぎるなど、少しデザイン的に不格好なところがありました(弘法も筆の誤りもしくは、前田智徳も7割は凡退する的なかんじですね)。今回の増補改訂版では内部のデザインも全体的に見直されており、さらに見やすく&分かりやすくなっています。移籍前はチャンスで引っ掛けてゲッツーが多かった新井さんが、帰ってきたらけっこう器用に右方向に打ちよるわい、みたいな円熟味を感じるところです。

まとめ

以上の内容を簡単にまとめます:



『増補改訂版:伝わるデザイン』は神ってる



はい。


ジョンソン!


というわけで、25年ぶりの優勝に沸き立つカープファンの方も、そうでない方も、社会人の方も、学生のかたも、研究者の方も、この機会に本書のご購入を検討されるのをオススメいたします。

伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール

伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール

きっと、今後のプレゼンスライド資料や報告書のレベルがまた一段上がるのではないかと思います。


追記:この本の元となった『伝わるデザイン』のweb版が以下にありますので、購入をご検討される方はまずは以下をご覧いただくと良いかもしれません



#あとは、わたくしといたしましては、風間フロンターレがタイトルをとってくれればもう思い残すことは何もありません(祈)

参考文献

↓本当に面白かった!カープファンならぜひ一度読んで欲しいです。名将ノムケンのことをもっと好きになること請け合い!

変わるしかなかった。

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↓昭和カープから平成カープへの流れを振りつつ味わえます
広島カープの血脈

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↓新井さん
赤い心

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↓甘いもの好きのカワイイ前田と、そんな前田の知られざる真実の姿を引き出す石井琢朗のことも本当に好きにならざるをえない
過去にあらがう

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