仮説検定の問題点を指摘している論文などに言及したブログ記事がはてブで人気だったのでメモしておきます。
心理学系の学会では、投稿規定の段階で既に「統計解析では仮説検定の結果だけではなく効果の大きさと信頼区間も共に示せ」と書かれているようです。参考になりますね。仮説検定disな論文の竹中先生の抄訳もリンクされておりました。
個人的には仮説検定を用いることの弊害が最も大きいのはリスク解析においてだと思っています。なぜかというと、リスクは一般に"risk=f(effect size, likelihood)"であるため、常にeffect sizeとそのlikelihoodの全体像を見据えながら計算・解析を行うことが本来的に必要とされるからです。
そのためには、仮説検定の枠組みではなくベイズの枠組みを用いるのが普通に最適かと思われます*1。
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*1:例えばDavid Voseの「入門リスク分析」でも仮説検定を用いた話は殆んど全く無く、全編モンテカルロシミュレーションかベイズを用いた話になっています。仮説検定の目的はリスク分析の目的と本質的に異なるので、リスク分析において仮説検定を用いるのは本来かなり「筋違い」な行為だと言えます。