Take a Risk:林岳彦の研究メモ

自らの研究に関連するエトセトラについてのメモ的ブログです。主にリスク学と統計学を扱っています。

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その2)

前回から続きます。

続き(強調は引用者):

ところでこのように見てくると、ここで”確からしさ”あるいは”確率”というものについての、いろいろな考え方がからみあっていることがわかるであろう。ネイマンは”確率”をもっぱら客観的に観測可能な繰り返し試行における頻度の意味に限り、それ以外の意味、あるいはそれ以外の”確からしさ”を表す尺度は主観的なものとして認めない。これに対してベイズ流の立場に立つ人々は確率をもっぱら”確からしさの尺度”として、すなわちある意味では主観的な判断の基準として考えている。母数の事前分布というようなものは、フィッシャーがこの本で主張しているように、必ずしも母集団の母集団からランダムに選ばれた母数の確率分布の意味ではなく、母数についての事前の知識から得られる判断の尺度として用いられるのが普通である。フィッシャーは確率を純粋に主観的な判断の尺度とみなすことは否定するが、しかしそれを全く対象における頻度とも考えず、頻度に基礎をおいた確からしさの尺度として考えている


そこで問題をはっきりさせるためには、確率の概念にまでさかのぼって考えなければならない。

わかりやすい解説ですね。

続きはまた次回。次回は確率概念の解説になっていきます。