確率概念について説明する(第1回):説明全体の構成 --- 確率概念の「規格」と「意味」
どもです。林岳彦です。白泉社文庫の大島弓子作品から一冊選ぶなら『つるばらつるばら』だと思います*1。
さて。
今回からは長期のシリーズとして、「確率概念とは何か」についてガッツリと説明していきたいと思います。今回は、その第一回目として、「本シリーズにおける説明の全体構成(予定)」について書いていきます。
本シリーズでは確率概念の「規格」と「意味」について書いていきます
ざっくり言いますと、本シリーズの目的は「確率って何すか?」という問いに答えることです。
で、「確率って何すか?」という問いには以下の:
- 確率概念とはどのような「規格」をもった概念なのか?
- 確率の値(たとえば”0.5")は実際問題としてどういう内実的な「意味」を示しているのか?
という方向性のちがう2つの問いが含まれていたりします。
前者の(1)については、たとえば、「確率は黄色である」「確率は150km/hである」という言い方は意味として成り立たないですよね。
つまり、確率概念は「色」でもなければ「時速」でもないわけです。じゃあ「確率は◯◯である」という文においてどういう「用件/規格」を満たす◯◯なら「確率」と呼べるのか、という方向から「確率って何すか?」という問いに答えていくのが(1)への答えの方向性になります*2。
一方、後者の(2)については、たとえば:
- コインを投げてオモテが出る確率が「0.5」
- 既に投げ終えたコインの上面がオモテである確率が「0.5」
- 20年後に地球の平均気温が2度上昇している確率が「0.5」
- 広島カープが今年優勝する確率が「0.5」
といったときに、いったいその「0.5」というのはどういう事態を指し示しているのか、その「0.5という値」の内実的な意味は何なのか、という問いに答えていくのが(2)への答えの方向性になります*3。
まとめ:今回のシリーズのもくじ
さて。
上記のような「確率って何すか?」という問いにおける「規格」と「意味」の違いというのを念頭に置きつつ、今回のシリーズは以下のような構成で書いていく予定です。
- 説明全体の概要 — 確率概念の「規格」と「意味」 ←イマココ
- そもそも「可能である」とはどういうことか? — 可能世界論
- 可能な世界の全体を1とする — コルモゴロフによる確率の定理
- 可能な世界を数える — 論理確率
- 可能な世界へ賭ける — 認識論的確率
- もしも世界が永遠に続くなら — 頻度論的確率
- 私は間主観確率主義者である
実は以前も同じような目次まで書いてそのあとすっかり放置してしまったので、今回こそはこつこつとコンスタントに書いていきたいと思います。
なによろです
参考文献
- 作者: 戸田山和久
- 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
- 発売日: 2000/10
- メディア: 単行本
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- 作者: 大島弓子
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1999/12
- メディア: 文庫
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*1:『夏の夜の獏』とか、ほんともう!
*2:この問いについてはふつうはコルモゴロフの確率の定理を引いてFAなのですが、本シリーズではより原理的に様相論理から説明を始めていきます
*3:この問いについてはふつうに「古典的確率/論理確率」「認識論的確率(主観確率)/間主観確率」「頻度論的確率」といった代表的な概念を説明していくことになります