フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その8)
前回からの続きです。今回は不偏性に関する議論です。不偏性の簡単な説明については以下も参考になるかと思います。
前回からの引用の続きです(強調引用者):
推定においてフィッシャーが不偏性の規準を攻撃することも当を得ている。各人が推定するにあたって肝要なことは問題にしている推定値が母数の値に近いことであって期待値の不偏は問題でない。不偏性は、適当な推定量を構成するに当っての一つの考えられる規準であって、これにこだわりすぎることは困る。最尤推定量は必ずしも不偏ではないが、母数の関数の最尤推定量は、母数の最尤推定量をこの関数に入れて得られる、という性質は、非常に便利である。だが不偏で分散の小さい推定量からは母数に近い値が得られるのだし、不偏か否かは推定量の性質としても知るべきであって、不偏性の議論は無視できない。
バランスのとれた見解かと思われます。あまりこの辺りは自分は詳しくはないのですが。
本ではこの後に「分散」と「検出力」の議論もありますがそこは省きます。