あの娘吉田豪がロングインタビュー決めたらどんな顔するだろう
すみませんタイトルは内容とちょっとしか関係ありません*1。
今回はリスクコミュニケーションやサイエンスコミュニケーションについて最近感じたことをユルく書いてみたいと思いました。
リスクコミュニケーション:「語ること」そして「聴くこと」
いまtwitterやブログを見ていると、まさに「いろんな人がいていろんなことを言うよ」状態になっています。私もその例外ではなく、リスク研究業界にいる一人として「今、自分がリスク・コミュニケーションやサイエンス・コミュニケーションにおいて何を発信できるか」について自問自答しながら日々を過ごしています。
そんな時にフイに思ったのですが、果たして専門家にとって「発信すること=語ること」だけがリスクコミュニケーションなのでしょうか?
そんな問題意識でちょっとググってみたところ、慶応大の吉川肇子さんの記事を見つけました:
電子行政:オピニオン/インタビュー - リスクコミュニケーションは「聴くこと」から始まる:ITpro
この記事で吉川さんはリスクコミュニケーションにおける「聴くこと」の重要性について語っています。あぁ、確かに、と思いました。
研究者は「リスクコミュニケーション」や「サイエンスコミュニケーション」というと、つい「(一般の人へ)語ること」について考えることに偏ってしまいますが、「(一般の人から)聴くこと」も同じくらい大事なのかもしれません。まあだって、考えてみりゃそもそも「俺はお前の話を聞くつもりはないがお前は俺の話を聞け」なんて言ってコミュニケーションが成り立つわけないですもんね。
まず聴いてるね:リスク研究学会の災害特設サイト
さて、そのような観点から見ると以下のリスク研究学会の災害特設サイトの意義もまた違って見えます。
リスク/サイエンスコミュニケーションの観点から見ると、このリスク研究学会の災害特設サイトの一番の特徴は「寄せられた質問に答える」というQ&A形式で書かれていることにあるかと思います。
リスク研究学会のこの特設サイトはまだ世間的にはそれほど存在感があるようには思えませんし、肝心の答えのクオリティもバラついているように思えます。また、一般向けとしては文体がどうにも硬すぎる傾向があるのも否めません。
しかしながら、「まず聴くことからはじめる」ことに徹しているという点については、さすが「リスク研究学会」には一日の長があるというべきなのかもしれません*2。
できれば、この取り組みを一時的なものではなく、常設の取り組みにしたいものです*3。
いまはまだ「語る」より「聴く」フェーズなのかも
さて、冒頭にも書きましたが、いまtwitterやブログを見ているとまさに「いろんな人がいていろんなことを言うよ」状態になっています*4。
しかし、現時点での日本には「アマチュアコメンテーター」は十分に足りているような気もします。また、自分の聴きたい声だけを拡声するための機材も十分に足りているような気もします。むしろ、いまの日本にいちばん足りないのは被災者の声や息づかいを漏らさずにキャッチする「プロインタビュアー」なのかもしれません。
もちろんみんながプロインタビュアーになるのはさすがに無理ですが、「語りたい気持ち」をちょっと抑えて、耳を澄まして「まず聴くことからはじめる」ことによってしか聴こえてこない大切なか細き声がまだまだあるように思います。
個人的にも、リスク/サイエンスについて「どう語ればよいのか」ばかりではなく、リスク/サイエンスについて「どう聴けばよいのか」についても、自分のテーマとしてこれから考えていきたいと思います。