Take a Risk:林岳彦の研究メモ

自らの研究に関連するエトセトラについてのメモ的ブログです。主にリスク学と統計学を扱っています。

統計

意外な展開:自然死産率の生データを見てみた

さいきんtwitter上で、「1960年代において大気圏核実験の影響で自然死産率が上昇している」という情報を見かけました(本記事の論旨の前提となりますので、ぜひ以下URLをご参照の上で以下の記事をお読みください)。http://twitpic.com/4gcyc6研究者ならば生…

「1000年に1度」の意味:頻度と確率を混同しちゃダメ!

今回の大地震を巡って、ときおり頻度と確率が混同されているように思われるので、整理のためのメモをしておきたいと思います。 「1000年に1度」=「今年1年間に大地震が起きる確率が1/1000」? 今回の大地震は869年に起きた貞観地震以来の規模ということで、…

統計的因果推論を学んでみる(0):ヨナ書の引用

これから統計的因果推論について学んでみようと思っております。統計的因果推論について考えることは「偶然と必然」の関係について考えることと重なります。 今回はその序章的メモとして、Judea Pearlの「統計的因果推論」で引用されている、ヨナ書の一節を…

確率概念の分類を描いてみた

SYNODOSのメルマガ(Vol. 70)の矢野浩一さんの記事に触発されて、今回は私の世界観における確率概念の(認知)分類を描いてみました。 主観確率・頻度主義的確率・ベイズ確率などの語句の説明はWikipediaが参考になるかと思います。客観的確率ですか? みん…

ほっほうー:「相関関数とは何か?」という記事のメモ

線形代数に関する調べものの際に見つけた記事のメモをしておきます。「相関係数とは何か?」 を体系的に理解するための6ステップ - 主に言語とシステム開発に関してそういう説明の仕方があるのかー!とかなり目からウロコでした。

いろんな解析をパス図で表した解説サイトのメモ

昨日わたしなりの統計マンダラ(大幅改訂しました)を改訂している途中で見つけたすごく勉強になったサイトをメモしておきます。中部大学小塩研究室さんのサイトにあった解説です。様々な分析をパス図で表す この図を見ていると、殆んどの線形系のモデルにつ…

半可通なりに果敢にも統計マンダラを描いてみた(20110218改訂)

今回は果敢にも半可通なりの統計マンダラを描いてみました。私は紛れもない半可通なので間違っているところが多々あると思いますが、ぜひ専門家の皆様に適宜御ツッコミいただければ幸いです(ぜひコメント欄もご利用/ご照会ください)。【20110218追記:マ…

無から有(意差)を生む:多重比較でウソをつく方法

前回の記事では多重検定がキーワードとなりましたが、良い機会なので、今回は例を交えながら多重検定がもつ問題のインパクトについて説明したいと思います。 (*「多重検定って何?」という方はこちら)結論を先に書くと、多重性を調整しない多重比較がなぜ…

「美人ほど女の子を産む」はウソ?:A. Gelmanによる統計的欠陥の指摘のメモ

少し以前から「美人ほど女の子を産む」というタイトルの記事をネットでちらほら見かけておりました。 例えばこちらなど:美人ほど女の子を出産する確率が高い | ゆかしメディア | 1個人的にはこういった進化心理学的研究への興味はもちろん大アリなのですが…

おっと危ない:信頼区間と予測区間を混同しちゃダメ

今回は仕事で解析をしていて「おっと危ない」と思ったことについて書いてみます。結論からいうと「信頼区間と予測区間を混同しないように注意しましょう!」という話です*1。 課題:BODの値からTOCの値を推定したい 最近ややあってBOD(生物化学的酸素要求量…

安藤 (2006)「構造方程式モデリングの光と影」

たまたま検索で引っかかった論文なのですが、読んでみたらちょっと興味深かったのでメモ。 - 安藤寿康 (2006)「構造モデリングの光と影」パーソナリティ研究 : Vol. 15 , No. 1 pp.120-123. http://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/15/1/15_120/_a…

ベイズ統計に反対する理由@昔の中国(A. Gelmanがソースだった件を追記)

日本に滞在経験のある中国人の大学生の方のtwitterで面白いベイズネタがあったのでメモ。Twitter / AlexWangYang: 話によると、昔の中国で「ベイズの定理」http://goo. ...事前分布の解釈には諸説ありますが、これはアクロバティックな事前分布の解釈ですね…

veganとprc():Rの群集生態学用パッケージのメモ

生態毒性学の論文で、化学物質の群集レベルへの影響を解析するときにPrincipal Response Curve (PRC)という解析法が良く使われています。いろいろ探してみたのですが、Rの群集生態学用パッケージであるveganに、PRCによる解析を行う関数(prc())があったの…

『統計的因果推論:モデル・推論・推測』を読む(その4)

前回からの続きです。いくつか抜き書きしていきます。今回は「1.4 関数因果モデル」の部分。 本書では、因果関係をLaplaceの準決定論的概念*1を用いて記述し、これを確率的概念と対比させ、因果的な実態を定義し、解析する。この概念を選択した理由は3つあ…

『統計的因果推論:モデル・推論・推測』を読む(その3)

前回からの続きです。今回は因果ベイジアン・ネットワークについての説明。 第一章 確率、グラフ、因果モデル入門 「1.3 因果ベイジアンネットワーク」 冒頭を引用します(p22)。 条件付き独立関係を記述するツールとしてDAG*1を解釈することはできるが、そ…

階層ベイズの基礎知識:hierarchicalの正しい発音

階層ベイズに関する研究をしていると、きっといつか「hierarchical」という単語を発語しなければならないときがきます。あなたは正しく発音できますでしょうか?以下のリンクで音声も聴けます。hierarchicalの意味 - 英和辞書 - goo辞書「ハイアラーキカル」…

『統計的因果推論:モデル・推論・推測』を読む(その2)

前回からの続きとなります。著者のJudea Pearlはベイジアンネットワークの創始者であり、本書もベイジアンネットワークの説明が主となるようです。ただ全体的な記述がかなり数学的なのでなかなか頭に入ってきませんが。。。 第一章 確率、グラフ、因果モデル…

『統計的因果推論:モデル・推論・推測』を読む(その1)

今回から以下の本を読んでメモを残していきたいと思います。自分の場合、厳密に言うと「ベイズ統計」自体よりも「因果推論」の方に興味があるので。統計的因果推論 -モデル・推論・推測-作者: Judea Pearl,黒木学出版社/メーカー: 共立出版発売日: 2009/02/2…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その10)

前回からの続きとなります。今回が遂に最終回です。今回はより大きな思想史の観点からの位置づけの議論となります。引用していきます(強調は引用者): これまでフィッシャー対ネイマンの論争点に則して解説してきたが、もう少し離れた点から評価すれば、フ…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その9)

次回からの続きです。今回は、フィッシャーvsネイマンの対立を、その後の数理統計学の流れの中で議論していく部分となります*1。ちなみにこの訳書は1962年刊行ですので、その時代感覚も含めて読んでいく必要があります。引用していきます(強調は引用者): …

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その8)

前回からの続きです。今回は不偏性に関する議論です。不偏性の簡単な説明については以下も参考になるかと思います。不偏性 前回からの引用の続きです(強調引用者): 推定においてフィッシャーが不偏性の規準を攻撃することも当を得ている。各人が推定する…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その7)

前回からの続きです*1。便宜上、段落の途中で引用を区切りますがご容赦ください。 ネイマンの考え方にたいするフィッシャーの批判ないし反発は、確かに的を射ている面も多いし、また論理一貫性を追って無理な批判となっている点も見られる。 近似的には同一…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その6)

前回から続きます(強調は引用者): もう一つの、そうして最もやかましい議論を生じた問題は、区間推定に関してである。 いま上にあげたのと同じ問題について考えると、 となるから、これを変形して と表される。したがってとで限られた区間に母数が含まれ…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その5)

前回からの続きです: 改めてフィッシャー対ネイマンの論争にもどって、具体的に争点となった問題を説明しよう。 最初に問題となったのは仮説検定論である。フィッシャーは、カール・ピアソンと同じく、仮説検定の問題を、得られた標本が仮定された分布をも…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その4)

前回の続き(強調引用者): このような立場は、それぞれ現在の統計学におけるいくつかの考え方のあるものを代表しているのである。確率を頻度として考える立場の代表者はフォン・ミーゼスである。彼は確率を集団現象における相対頻度の意味に限定し、さらに…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その3)

前回から続きます: 統計的推測における”確からしさ”あるいは”確率”の問題を考えるために、三つの段階を区別しなければならない。たとえばものの長さを測る場合をとると、 1.測定の方式(測定の回数等)と観測値からの推定方式を定める。測定方式はいろいろ…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その2)

前回から続きます。続き(強調は引用者): ところでこのように見てくると、ここで”確からしさ”あるいは”確率”というものについての、いろいろな考え方がからみあっていることがわかるであろう。ネイマンは”確率”をもっぱら客観的に観測可能な繰り返し試行に…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」の訳者解説が素晴らしすぎる(その1)

本編の方はフィデューシャル推測の項まで書いたのでもう良いかなあ、と思って終わりにして、今回から同書の「素晴らしすぎる訳者解説」のメモを書いていきます。訳者の方は「渋谷政昭・竹内啓」さんなのですが、巻末の訳者解説が本当に素晴らしく完成度が高…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」が面白すぎる(その12)

前回に引き続き、今回もいわゆるフィデューシャル推測の節。今回が本節(第3章3節 推測度による論法)の最後となります。前回の部分の引用の続きで、フィデューシャル推測の確率論としての取り扱いについての議論がされています(強調は引用者): ハロルド…

フィッシャーの「統計的方法と科学的推論」が面白すぎる(その11)

前回に引き続き、今回もいわゆるフィデューシャル推測の節。前回の部分の引用の続きで、導出したの頻度分布の解釈についての議論になっていきます: 実験者が事前の知識なしに、実験の結果得られたTのある値にもとづいて追求している、の特定の未知の値にた…